~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

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2023.07.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

7月を迎えて~「隗より始めよ」 人材を活かす~

7月となりました。早いもので2023年も後半に入ります。コロナ禍が落ち着き、長かった自粛生活も通常モードへと戻りつつあります。株価もバブル後最高値を更新するなど、徐々に経済も動き始めました。そうしたなかで、近時どこへ行っても聞かれるのが「IT人材不足」。ITプロジェクトは多くの人手を必要としますので、プロジェクトの成否は「人材」に掛かっていると言っても過言ではありません。しかしながら、その「人材」が揃わずにスケジュールの見直し等を余儀なくされるプロジェクトもあるようです。

どのようなIT人材が足りないのでしょうか。開発の現場の方にお聞きしてみると、「数」の問題もありますが、喫緊の課題は「プロジェクトを任せられる人材がいない」という「質」の問題のようです。IT分野は経験の要素が大きいので、プロジェクトを統率・管理出来るマネジメント人材は一朝一夕に育てられるものではありません。世の中全体を見ても、長い景気の低迷やコロナ禍でITプロジェクトを経験する機会が少なかった人材が殆どなのではないかと思います。

「隗より始めよ」という言葉があります。戦国時代の中国、燕(えん)という国の政治家隗(かい)が、賢者を自国に招きたいと考えていた王に「まず凡庸な私(隗)を重く用いてみてください。そうすれば自分より優れた者たちが自然に集まってくるでしょう」と提言した故事。今は「大きなことを成すには、まず身近なことから始めよ」あるいは「物事は言い出した者から始めよ」という意味で使われることが多いようですが、私は王と隗のやりとりに本旨があると思っています。

「IT人材不足」と言いつつも、ITの現場には凡庸どころか意欲に富んだ優秀な人材が揃っている、と感じています。「隗より始める」如く、今いる人材を登用し、経験を重ね、計画的に育成することで、現場が活き活きとし、結果的に会社全体の成長に繋がるのではないでしょうか。時間は掛かりますが、地道な育成策を根気強く続けることが、IT人材確保に繋がる一番確実な近道ではないかと思うのです。

 

廣瀬

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