12月となりました。11月は、海外では長引くウクライナ戦争に加えイスラエル紛争が激化、国内では宝塚のパワハラ問題、日大アメフト部の大麻事件など、暗いニュースが続いた1ヶ月でした。そうしたなかで大谷選手が2回目のMVPに選出されたことが明るいニュースと言えるでしょう。満票で2回のMVPを獲得した選手は長いメジャーリーグの歴史でも初めてとのこと。大谷選手はこの歴史的な快挙を伝えるインタビューを可愛い犬と一緒に受け、受賞を聞いたときにハイタッチする姿が全世界に放映されました。「あのワンちゃんが羨ましい!」と世界中のファンが思ったのではないかと思います。大谷選手自身は、シーズン終盤に手術を受け、シーズン終了後はフリーエージェントになるなど、プレー以外のところでも話題が多いシーズンでしたが、ワンちゃんはそうした話題を一瞬にして吹き飛ばし、インタビュー終了後には司会者が「今日の主役はショーヘイだったっけ?ワンちゃんだったっけ?」とつぶやくほど、見事な存在感。過熱する報道を和らげる、心憎いパートナーの登場でした。
「犬も朋輩、鷹も朋輩(いぬもほうばい、たかもほうばい)」という言葉があります。鷹狩りを演じた浄瑠璃の台詞が起源と言われています。鷹狩りと言えば鷹が主役、鷹匠の技術や鷹の華麗な狩猟ぶりが注目されますが、実際には犬が獲物を追い詰め、鷹が狩猟出来る状況を作りだして鷹に獲物を取らせるのだそうです。この言葉は、鷹も犬も狩りという仕事、目的の中では役割が違うだけで同じ仲間、という意味です。転じて、ビジネスの世界でも、ひとつの製品やサービスを世に送りだすなかでは、立場や役割が違ってもみな大切なパートナーなのだ、という主旨で使われます。
今やどのような業種でも分業化が進み、自社だけで完結する仕事は皆無と言ってもよいでしょう。加えてIT化の進展で、情報を共有化する強力な「ヨコ」のネットワークが新しいマーケットを牽引しています。その一方で、我が国の産業には長い間「ケイレツ」や「年功序列」が作り出してきた「タテ」の構造が今なお色濃く残っていることも事実です。私自身、大手銀行からスタートアップに転じ、この「タテ」と「ヨコ」を、身をもって感じる1年でした。新参者のコーラルテックは、社内外の多くの「ヨコ」の仲間に支えられています。キャリアや年齢に関係なく、志を同じくする仲間が出来たことが大きな財産。今年は目先のことに追われがちな毎日でしたが、年末を迎えるにあたり、支えてくれている皆さんに感謝の気持ちを伝えられるような心の余裕を持たないといけない、と大谷選手とワンちゃんのハイタッチを見て改めて反省する今日此頃。。。
廣瀬