~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2024.02.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

2月を迎えて~「利他」~与えることから始まる

2月になりました。2024年は年初から能登半島地震を始め、災害、事故が続く幕開けとなりました。能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。年末から年始に掛けて、家族や自分の健康、会社の成長など、2024年という1年に思いを巡らしていた最中に災害の映像を目の当たりにし、ガツンと頭を打たれたような気持ちになりました。

振り返れば、50代後半、定年を迎え静かに老後を過ごす、といったある種用意されたレールに乗ることに疑問を持ち、「会社」に留まらず「社会」に自分の経験してきたことをお返ししたい、という思いで会社を飛び出し、60歳を過ぎてコーラルテックを起業しました。その頃の初心に戻って考えると、知らず知らずのうちに日々の経営に追われ、目線が下がってしまっていたように思います。もちろん、家族、従業員、お取引先など、自分を支えてくれている方々の幸せを願うのは当然ですが、その先にまで思いが及ばず、結果的に自分のことしか考えていなかったのではないか、と問われた気がします。

仏教に「利他(りた)」という言葉があります。他人のためになることを優先して行うことが自分を成長させ、結局は自分自身のためになるのだ、という考え方です。稲盛和夫氏が「利他の心」を「一番大事な言葉」として随所で紹介していましたので聞いたことがある方も多いと思います。ビジネスの世界では、自分の利益を追求するあまり「他」のことは忘れがち。ともすると「他」は自分のために利用するもの、とあからさまに振る舞う経営者すら見掛けます。一方で、商品やサービスがネット中心になり、それを支えるITも従来の自己完結型の重厚長大な開発・運営スタイルから、オープンなネットワークが生み出すアイデアやスピード感が成否を問う時代になってきています。そうした環境だからこそ「コラボレーション」「共創」といった、自分だけではなく「他」の「利」を尊重するビジネススタイルが求められてくるのだと思います。

規模の大小に関わらず、組織はリーダーの考え方で価値観や風土が大きく変わってきます。生き馬の目を抜くビジネスの世界では、「利他」はともすると「利」ばかり搾取されてしてしまうことの方が多いのかもしれません。それでも、起業の初心を忘れることなく、コーラルテックが名実ともに「利他」を実践できる誇り高いプロフェッショナル集団となっていけるよう、私自身が日々の言動を通じて「利他」を内外に発信していかなければいけない、と改めて思うのです。

 

廣瀬

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