4月となりました。3月はWBC優勝で日本中が盛り上がり、その後のWBCロス、大谷ロスに陥っている方も多いのではないでしょうか。今回のWBCは様々な点で興味深く、それぞれの楽しみ方があったと思います。ダルビッシュ選手の風格とも言える存在感と安定感、大谷選手の強烈な求心力と勝利への気迫、三冠王村上選手の極度の不振と復活劇、若手選手たちの躍動等々。そうしたなかで、経営者の末席に居る私としては、これだけのスター選手を預かる栗山監督のチーム作りと組織マネジメントに一番注目しました。とりわけ驚かされたのは、最後までブレない姿勢、起用した選手は局面が変わるまで起用し続ける信念。緊張している選手もいればピンチを迎える場面もありましたが、任せた局面は最後まで任せる姿勢を貫いていました。統計をとった訳ではありませんが、上位打線への代打やイニング途中での投手交代は殆ど無かったのではないでしょうか。野球は確率のゲームと良く言われますが、素人目で見るとイチかバチかのような場面が多く、だからこそハラハラドキドキし、見ていて盛り上がったのだと思います。
栗山監督は、大会後のインタビューで「全員秀でた実績と高いプライドを持った選手。自分の状態やその中で自分が何をしなければいけないかは、周りに言われるまでもなく本人が一番分かっている」とコメントしています。恐らく、同じ「確率」でも目先の数試合の確率ではなく、より長期的な確率で選手の力を見極めていたから、結果的にブレない判断になったのでしょう。また、自分は何を期待されてここにいるのかを選手一人一人が理解しているだけでなく、それをチーム内でお互いに尊重しあえるような日頃のコミュニケーションが出来ているからこそ、監督の意図が全員にしっかり浸透していたのだと思います。
我々が組織を運営するときに日々迫られる判断も、どのような時間軸で考えるか、によって対応は大きく変わって来ます。社員の成長のために経験させるのか、今期の結果を求めるのか、お客様との長期的な関係を大切にするのか、足元の案件を獲得に行くのか。。。会社運営の現場では、どうしても目先の成果や短期的な収益を追いかけ勝ちですが、今回のWBCは、リーダーが少しでも長い目線で物事を受け止め、泰然自若としていられるか、またそうできる環境を日頃から作れているか、改めてマネジメントの原点を振り返る良い機会となった気がします。
廣瀬