~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2023.09.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

9月を迎えて~「天網恢恢」 お天道様は見ている~

9月となりました。8月はビッグモーター社の保険金不正請求事件が発覚し、連日さまざまなニュースが流れました。ゴルフボールで車体を傷つけて修理費を増額する、中古部品と交換して新品として請求する等、耳を疑う実態が次々と明らかになりました。もちろんこれらは犯罪行為であり、これだけを聞くとビッグモーター社全体が犯罪者集団のように思えますが、6000人の従業員の多くは純粋に車が好きで真面目に仕事をしている職員なのだと思います。数年前からこうした真面目な職員からの内部告発があったにも関わらず、損害保険会社も含めて都合の悪い情報に真摯に向き合ってこなかったところに、根深い問題があるように思います。

日常のビジネスのなかでも、小さな取り繕いを隠すために嘘をつき、その嘘を隠すために更に大きな嘘をつく、ということを見かけます。どんなに小さな嘘であっても、やがては大きな犯罪になり、取り返しのつかない事態となり兼ねません。閉じた組織の中では、いつしか嘘や悪事がその集団の正義になり、異を唱えることができない強烈な同調圧力が生まれるのでしょう。しかしながら、人材が流動化し、SNSなどで自由に情報が飛び交うなかでは、嘘や悪事を正当化するような閉じた関係を維持することは不可能です。嘘や悪事は必ず顕在化し、いずれは組織の存続をも危うくする事態になることは自明です。

「天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)」(老子)という言葉があります。「天が悪人を捕えるために張りめぐらせた網の目は一見粗いように見えるが、悪事を犯した人は一人も漏らさず取り逃さない。お天道様は厳正であり、悪事は必ず暴かれ、天罰をこうむるのだ」という意味です。

企業にとって「お天道様」はお客様であり、お取引先であり、従業員ひとりひとりです。監督当局やマスコミも企業活動のなかでは「お天道様」と言えるでしょう。何よりも、組織のリーダー自身が「お天道様」となって、取り繕ったり、嘘をついたりする必要がない健全な組織風土を日常から作り上げていくことが必要です。そのためには、リーダーが日々起こる様々な出来事を正面から受け止め、皆が安心して任せられるリーダーシップを発揮できるかが最も重要なのだと思います。

当社も開業して1年半が経ちました。スタートアップの苦労もありますが、コーラルテックは見た目の企業規模や利益以上に、「お天道様」に恥ずかしくない「誇り高い技術者集団」でありたい、と心から思うのです。

 

廣瀬

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