~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2024.04.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

4月を迎えて~八風吹けども動ぜず~ブレない心を保つ

4月になりました。3月は昨年から続く自民党派閥の裏金問題が国会で取り挙げられ、大物政治家同士の政倫審での生産性のないやりとりを聞かされて少々ウンザリさせられました。その一方で、大谷選手の結婚発表、新チームでのデビューと明るい話が続き、マスコミも大谷選手関連の報道一色。そうしたなか、大谷選手の専属通訳である水原氏が違法賭博に関与して大谷選手の資金を使い込んだというショッキングなニュースが飛び込んで来ました。その後しっかりと自分の言葉で事情説明してくれ、開幕後も変わらないプレーを見せてくれているのが安心材料ですが、大谷選手と水原通訳は公私ともに一体と言われるほどの密な関係に見えていましたので、信頼していた人間に裏切られた精神的なショックも小さくないのでは、と心配になってしまいます。

「八風吹けども動ぜず」(はっぷうふけどもどうぜず)という禅の言葉があります。「八風」とは人の心を揺さぶり易い以下8つの事柄のこと。①利:自己の利欲に執われ自分だけはと願う心、②誉:名誉に執われ誉められたいと願う心、③称:称賛されたいと願う心、④楽:享楽にふけり楽したいと願う心、この4つは「こういう風が吹いてくれればと願う煩悩心」。それに対し⑤衰:気力、活力の衰えた姿、⑥毀:他の人から批判されけなされる姿、⑦譏:他の人からそしられる姿、⑧苦:人生の苦難、苦境にさらされる姿、この4つは「こういう風が吹かないでくれればと願う煩悩心」だそうです。「八風吹けども動ぜず」という言葉には、「良い事があっても悪い事があっても、煩悩の風に惑わされることなく、毅然とした動じない心でありなさい」という教えが込められています。

大谷選手の場合は、誰もがあり得ないと考えて来たことを次々と実現し、大きな怪我も2度のMVP受賞も淡々と受け止めて来たこれまでの言動を見ていると、常人以上に動じない心とブレない信念を持っていることは間違いありません。今は華やかなキャリアの中では最大の逆風なのかもしれませんが、今後も変わらず素晴らしいプレーで我々に夢を与えて続けてもらえるよう期待したいと思います。

ビジネスの世界でも、組織の長といった立場の人の言動は、わずかなブレでも周囲に大きな影響を与えます。私の40年近い会社員人生の中でも、発言や考えの軸が定まらない上司を何人も見て来ました。名前の通った会社で立派な肩書を持っているからといって、人として信頼に足る、ブレない強い心を持っている訳ではないのです。昇進のために平気で仲間を欺く人もたくさん見て来ました。それもまた「煩悩」なのでしょう。そうした経験を経て、私自身は所属する組織の規模やその時の立場などに関わらず、「八風吹けども動ぜず」を貫き、良い事があっても浮かれることなく、悪い事があってもウロたえることなく、ブレずに日々過ごして行きたい、と思うのです。

 

廣瀬

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