5月になりました。最近、異業種交流会の場などで当社の業務内容を説明する機会が増えてきました。一般的には「ITコンサル会社」になるのだと思いますが、当社は最先端のIT技術の紹介をしたり、アカデミックなIT教育をする会社ではありません。当社のコンサルティング・サービスは、お客様の「コミュニケーション・サポート」と位置付けています。ITは内容も用語も難しく、日常なじみの無い方はあまり近寄りたくない(?)領域ではないかと思います。当社では、そのITを出来るだけ分かり易い言葉に置き換え、皆が共通の理解を持つことがプロジェクト成功への第一歩と考え、ステークホルダー間のコミュニケーション・サポートに注力しています。そのためには、ITのことはもちろん、業務プロセス、経営の方針、現場の運営体制、リスクの考え方など、お客様の様々なご事情を学び、理解しなければいけません。言い換えれば、絶えず学び続けることが、当社の企業価値の源泉です。
その一方で、世の中には学ぶ努力をしない人もたくさんいます。安定した既得権益のうえで、学ばないこと、知らないことを正当化してしまう姿を、これまでも少なからず見てきました。とりわけ、昔ながらの御神輿人事のなかで、永年社内の権力争いや権謀術数で明け暮れて来た人たちには、仕事というのは出世の道具でしかないのかもしれません。大きな企業ほど、自ら世の中に提供し、対価を頂いている商品やサービスなのにも関わらず、深く理解し、より良いものを追及していくという前向きな姿勢が感じられない人が、多い気がします。
「鳥なき里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり)」という言葉があります。鳥が居なくなった夜の里では、蝙蝠があたかも鳥のようにわが物顔で飛び交う様子を言っています。転じて、優れた者、知識ある者がいなくなった場所では、つまらない者、知識の無い者が威張りだす、という意味で使われます。ビジネスの世界でも、鳥が居なくなった組織は、驚くような速さで蝙蝠の集団となってしまいます。更には、鳥と蝙蝠を見分けられない経営者が蝙蝠を鳥として重用する、というおかしな事態にもなり兼ねません。そうなってしまうと、日々地道に努力している人や夢を持って入社してきた人の心は忽ち離れていってしまうと思います。
お客様の職場が、蝙蝠が跋扈する暗闇の里ではなく、地道に努力する鳥が伸び伸びと飛び回る明るい里になるよう、少しでもお役に立ちたいと考えています。そのためには、当社自身がお客様以上に「地道に学び、努力する鳥」の集団になっていかなければいけない、と思うのです。
廣瀬