~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2024.06.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

6月を迎えて ~「群盲象を評す(ぐんもうぞうをひょうす)」~大規模プロジェクトの難しさ

6月になりました。今年の連休は暦の並びも天気も良く、多くの方がゆっくり休養出来たのではないでしょうか。人混みが苦手な我が家はもっぱら近場で過ごしましたが、近場の居酒屋やラーメン屋にも外国人の姿が目立ち、円安・インバウンドの威力を感じた連休でもありました。一方で、円安は食品やエネルギーなどの物価高を招き、日常生活へのインパクトも甚大です。円安にはメリットデメリット双方あるのだと思いますが、最近は、環境に柔軟に適応していくしかないのかな、と諦めています。

先日、お客様が進めて来られた大規模プロジェクトが中断することになった、とお聞きしました。IT技術がどんなに進化しても、大規模プロジェクトを推進していく難しさは変わりません。プロジェクトは、大きくなればなるほど組織化され、役割も細分化されます。その結果、個々の現場からは全体が見えなくなってしまい、各機能間の整合性が取れなくなっていたり、全体規模が肥大化したりしてしまう事例を数多く見て来ました。今回のお客様の事例がどうか分かりませんが、部分の積み上げがプロジェクト全体の最適解にならないことを、我々ITの世界に生きる人間がしっかり理解しておくことが、プロジェクトを成功に導く要諦なのだと思います。

古いインドの寓話に「群盲象を評す(ぐんもうぞうをひょうす)」という言葉があります。6人の目の不自由な人が、それぞれ象を触って感想を言い合います。足を触った人は「大木のようです」、尾を触った人は「ロープのようです」、鼻を触った人は「蛇のようです」、耳を触った人は「扇のようです」、腹を触った人は「壁のようです」、牙を触った人は「パイプのようです」と答えます。6人は皆正しいことを言っていますが、「象」という全体像は誰も分かっていません。古の時代から現代に至るまで、全体を把握し、理解することは難しい、ということなのでしょう。

当社は、痛い思い(?)を含めて様々なプロジェクト経験をしてきたベテランの集団です。日々現場で起きる出来事を通じて、「プロジェクトにどのような問題が内在しているのか」、「この先どのようなトラブルが想定されるのか」等、プロジェクトへの影響を敏感に察知できる感性やリスクの感知能力は、AIがどれだけ学習を重ねても、こうしたベテランのアナログな経験に優るものは無い、と昭和のオジサンは思ってしまうのです。

 

廣瀬

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