~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2024.10.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

10月を迎えて~「冷暖自知(れいだんじち)」~自ら確かめる

10月になりました。9月は後半まで厳しい残暑が続いたうえに、記録的な豪雨により復興途上の能登半島が再び災害に見舞われるなど、天候に振り回される日々が続きました。そうしたなか、大谷翔平選手の活躍は鬱々としがちな日々の生活に元気と勇気を与えてくれます。前人未到の50本塁打・50盗塁を生みの苦しみもなく達成してしまうばかりでなく、八面六臂の活躍でチームを優勝に導くなど、ただただ驚くばかりです。一連の報道の中で感心させられたのは情報量の多さ。日本人最多、アジア人最多といった記録ばかりか、〇試合で何本・何盗塁は史上初等、非常に細かい情報で話題を提供してくれます。こうした各種情報を活用した分析は、ITに従事する身としては誇らしく感じますし、報道も様々な情報を駆使して大谷選手の活躍を盛り立てます。しかしながら、こうした「情報」はあくまでも「過去の数字」です。栄養管理やトレーニング環境、試合で使っている用具など、技術は日進月歩していますので、日々今の試合を戦っている選手側は、周りが思うよりも飛び交う情報を冷静に受け止めているような気がします。

「冷暖自知(れいだんじち)」という言葉があります。水が冷たいのか、温かいのか、感じ方は人それぞれ違います。他人からの情報で判断するのではなく、最後は自分で確かめることが大切だ、という意味です。お風呂のお湯の温度も、ある人にはぬるいかもしれませんし、別の人には熱く感じるかもしれません。デジタル機器や通信環境が発達し、私たちの生活は情報過多と言えるほど多くの情報に溢れています。現場に行かなくても、現物を見なくても手元の情報で事足りてしまうことも増えました。そうした環境を提供し、生活や仕事の利便性や効率性を向上させていくことは、ITの重要な責務です。しかしながら、そうした時代だからこそ、本当に大事なことは、自ら見て、感じることが重要になってくるのだと思います。

近時、溢れる情報を使うことで真実から逃げているのではないか、と感じる場面も増えました。今年話題になったジャニーズのセクハラ事件、宝塚のパワハラ問題、ビッグモーターの保険金不正請求等、当初は理路整然と経営者や弁護士が内部調査結果を報告していましたが、その後の迷走ぶりはご存知の通り。果たしてこうした方々がご自身の眼で見て、肌で感じて真実を確かめたのか、疑わざるを得ません。我々が従事する事務やシステムは、事実・現実の積み重ねです。厳しい現実と向き合うことも少なくありませんが、当社は、どのようなときも真実に確り向き合い、我々自身が自ら見て、感じた事実を信じてサービスをご提供して行きたいと思うのです。

廣瀬

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