~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2025.05.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

5月を迎えて~「薫風南より来たる」~爽やかな風は心のゆとりがあってこそ

5月になりました。桜の時期が終わり、季節は春から初夏になりつつあります。先日、オープンテラス席で会食をする機会がありました。お取引先との会食はどうしても個室になりがちなので、久しぶりのオープンテラスはとても気持ち良く、天気にも恵まれ、開放的なひとときを過ごすことが出来ました。近年は連休明けから一気に暑くなってしまう年も多く、今年も気持ちの良い気候は長く続かないのかもしれませんが、この時期でしか過ごせない時間を楽しみたいと思います。

「薫風自南来(薫風南より来たる)」という禅語があります。「薫風」とは、新緑のこの時期、木々の間を吹いてきて、若葉の香りを運んでくる爽やかな風のこと。気持ちの良い気温、湿度だけではなく、この時期の風には新緑の逞しい生命力が感じられ、勇気づけられるのかもしれません。忙しい毎日、日々暮らしていると何かと思うようにいかないことの方が多いと思います。この言葉には、そうしたなかでも「薫風」を感じる心の余裕を持つことで、明日へのエネルギーが湧いてくる、といった教えが含まれています。「うまく行かない」というのは自分の一方的な願望でしか無く、それを叶えようと躍起になっている姿は、大自然が織りなす「薫風」のなかではちっぽけなものなのでしょう。

若いころは毎日の仕事や付き合いに追われ、経験を重ね責任を負う立場になると、この先のビジネス展開や成否ばかりを気にして来た気がします。当時は「薫風」が吹いていることすら、気が付いていませんでした。今から思えば、密やかに吹いてくる微風に少しでも目を向ける心の余裕があれば、もっと大きな流れのなかで毎日を過ごすことが出来たのかもしれません。そんな自戒の念を感じながらも、「オープンテラスで飲むビールは美味しいなぁ」と快調に杯を重ね、結局飲み過ぎてしまうところは、全く成長していないようです。

廣瀬

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