~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

column

2025.09.01   ~桃李成蹊~ 還暦オヤジの独り言

9月を迎えて~「清風拂明月(清風、明月を拂う)」~お互いに高め合う

9月になりました。9月といえば「中秋の名月」。発想力の乏しい私は、月の前で風にそよぐススキと供えられた月見団子、程度のイメージしか持ち合わせていませんが、毎日異常に暑い日々が続き、9月になっても、ススキが風にそよぐ秋らしい風景はまだまだ見られそうもありません。私もこの夏は7月に体調を崩し、8月はなかなか本調子に戻れずにいました。9月に入り対外活動も本格化して来ますので、関係の皆さまにご迷惑をお掛けしないよう、しっかりと体調を整えたいと思います。

「清風拂明月(清風、明月を拂う)」という禅語があります。中秋の名月の季節に合わせ、9月の茶会の掛け軸に良く使われる、とお聞きしました。明月と秋風、という雅な風情を想像していましたが、実はもう少し奥の深い言葉のようです。この言葉は「清風、明月を払い、明月、清風を払う」という対語の一部。「拂う」というのは、「お祓い」と同様、清めること。月だけではなく、そこに清らかな風が吹くことで月の明るさが映え、風は月明りのなかをそよぐことで爽やかさが増す、というお互いに高め合う関係を表しています。茶会では主と客がいますが、主があっての客であるとともに、客があってこその主である、というお互いの関係を意味していると言います。

近時、様々な権力者が分断を煽り、どちらが正しいのか、勝ち組と負け組など、お互いが敵対する構図となることが、政治でも経済でも日常茶飯事になって来ています。私には、相手を認めず対立姿勢に入るのは、自分自身に相手を受け入れる余裕と自信が無い、弱さの現れのように思えます。プーチン大統領は、トランプ大統領のこのコンプレックスに巧みにつけ込んでいるのではないか、とさえ感じてしまいます。

我々が過ごすITの世界は、多くの関係者が力を合わせることで成り立っています。開業間もなく、規模も小さい当社は、取引関係のなかでは下に見られたり、時には利用されたりすることも少なくありません。それでも、対立的な関係で仕事に向き合っていると、決して良い成果は得られません。役職員ひとりひとりが、プロジェクトの成功に貢献する、という誰にも負けない矜持と実力を持っていることが、当社の強みなのだと思うのです。

廣瀬

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